東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第5回 劇団壱劇屋 大熊隆太郎さん
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第5回は劇団壱劇屋の大熊隆太郎さんにアドバイスをいただきました。
十周年企画でご多忙な隙間を縫ってお話を伺いました。
ちなみにちゃんとした記事も過去にいろいろと作られています。
fringe「大阪・壱劇屋が勝負をかけた3都市ツアーでやった10のこと、公演企画とTwitterの相乗効果で動員目標達成」
http://fringe.jp/topics/casestudies/20160502.html
など。
中野「何回くらい東京公演やってらっしゃるんですか」
大熊「5回ですね。5年連続で5回。
だいたい豊島区が多いです」
中野「会場が毎回違うんですよね? どうやって決めてらっしゃるんですか」
大熊「値段と広さの兼ね合いですね……うちはどうしてもある程度広くないといけないので。前回の劇場は舞台監督さんのお薦めで決めました」
中野「どうやって集客してらっしゃるんですか」
大熊「最初は全然わからなかったので、池袋演劇祭に参加したんですよ。演劇祭なら審査員もいるし集客もあるだろうと。そこで48劇団中、7位に当たる賞をいただいて。
ステージ数が多かったこともあり、360名くらい入りました。
池袋演劇祭は、前夜祭であるCM大会で優勝したのも宣伝になったと思います」
第26回池袋演劇祭 劇団壱劇屋「UNKNOWN HOSPITOL」2014年9月 てあとるらぽう(豊島区観光協会賞受賞)
大熊「情宣はSNS頼みでしたね。あとは日替わりゲスト」
中野「うちも1回だけ日替わりゲストをやったんですが(※)、どうですか?」
※10分間2016。有北雅彦さんと塩原俊之さんに日替り出演していただきました。
大熊「労力対効果を考え出すとあれですが(笑)、ふだんかかわらない方々とつながりができるというメリットがあります。面識がない方にもお願いして、けっこう出ていただけました。
事前の稽古はなく、出演シーンの動画を送って確認していただく形をとっています。難しい部分もありますが、やっていても楽しいです。
最近は、ゲストは役者以外の方にお願いするようにしています。それで別ジャンルから一人でも小劇場にお客さんが来てもらえたら、やる価値はあると思っています」
中野「挟み込みはどうされていますか?」
大熊「カンフェティを利用しています。
元王子小劇場代表の玉山悟さんがツイッターに、4万枚挟み込めということを呟いてて、2017年にやってみたんです。
そのせいかは分かりませんが、たしかに2017年から2018年にかけて集客は増えました」
第31回公演3都市ツアー「新しい生活の提案」2017年6月 萬劇場
中野「4万枚だと、挟み込み先の公演のジャンルを選んでいられませんね」
大熊「月4万枚だと選べませんね。2ヶ月で4万枚だとまぁまぁ選べるので、3ヶ月ペースくらいがいいんじゃないかと。
まず演劇ファンにリーチしないといけないことと、どこにでもある感が出るといいんだと思っています。
東京のチラシはあまりビジュアル重視じゃない印象があるんですよ。情報重視というか」
中野「なんでなんでしょうね?」
大熊「なんでなんでしょうね……関西はチラシも作品の一部として頑張っていますが、関東は情報を伝えるものと割り切っているのかもしれないです。だから凝ったチラシにすれば目立つと思います。
折り込みは自分たちの現存する知識で一番戦えますし、楽ですね」
──壱劇屋さんといえばSNSというイメージがありました。
大熊「ツイッターとか大変じゃないですか。SNSは流れていくから何度もやらないといけないし。うちは劇団員の西分が更新してますが、西分はもう……自分でも言ってますがちょっとした依存症だと思います(笑)。そこは本人の嗜好と役割が合致してよかったなと思ってます」
──いわゆる「タイムラインが荒れる」など、SNSの多用には賛否両論あるようなので、運用は悩んでしまいます。
大熊「そういう意見があるのも承知していますが、フォローして楽しんでくれるお客さんと自分たちの関係性の中で、気にせずやっています。
公演情報の『拡散』とかね、劇団主宰的にはやってほしいから自分でもリツイートしてお願いしますけど、正直恥ずかしい……。
若い劇団員とかが堂々と『発表されました!拡散してくださーい!』とかやってるのを見ると、なんでそこで自撮りあげとんねん、寒っ、とは思いますよ(笑)」
──たぶんこれ今日のハイライト(一番面白い話)なのに、公開できないのが残念です(笑)
大熊「ぜんぜん書いていいですよ」
──本当ですか(笑)
大熊「要はセルフプロデュースできるかどうかなので。うちはまだガンガンお客さんにお願いして宣伝してもらわないといけない。
そういうことをしなくても売れてる劇団とか、売れてるのになんでそんなかっこいいスタンスでいけるのか……とは思ってます。
ちょっと話がそれましたが、東京のことはなるべく向こうの人に頼むのがよいと思います。関西との文化の違いがあるので」
中野「東京に限らず、どこ行っても小屋さんのことが怖いんですよ……いまだに気さくにしゃべれない(笑)」
──先方は気さくにお話ししてくださる方が多いですけどね(笑)
大熊「東京2年目くらいから、挨拶回りに行くようになりました。
シアターガイド、Next、ぴあ、観劇三昧さんあたりですね。若旦那家康さんにかなり助けてもらいました。若旦那さんの紹介で回らせてもらって。
あと、『来年の劇場はもう決まっているけど、その次の劇場を探している』という感じで、劇場にご挨拶を……若旦那さんが言うには"雑談"をしに行きます。
記者会見もしました。制作から記者さんに連絡して、スペースを借りて。
愛知に宣伝に行ったときは、中日新聞の記者さんにつないでもらって、公演後に劇評を載せていただきました。」
中野「東京は1日行くだけでも大変で……何回くらい行くんですか?」
大熊「だいたい1回くらいです。1泊2日で何軒回れるかという。
あとは向こうの知り合いに会ってツイッターでつぶやいてもらって……いやしい気持ちになりますね……」
中野「(笑)」
大熊「だいたい本番1~2か月前くらいに行きますね。あまり早く行ってもあれですが、本番1か月前になると稽古が厳しいので。
けど中野劇団さんは土日しか稽古がないんですよね?」
──本番2か月前でも残り稽古15回とかですね……。余裕をもって行くようにします。
中野「東京までの移動はどうしてます?」
大熊「スタッフはトラックですね。団員はバスで」
中野「クラウドファウンディングされてたんですよね?」
大熊「ひとりの方がドンと出していただけるのもすごくありました……。リターンを作るのにもけっこう負担はあるので、おすすめできるかと言われるとあれかもしれませんが(笑)、作品に寄り添ったリターンが用意できれば喜んでもらえるなと感じてます。
他劇団だと打ち上げ参加権をリターンにしたりしていますね」
中野「打ち上げ毎日行きます?」
大熊「僕は行きますが劇団員が行かないですね……。僕が行けばまぁゲストの方がいても成立してるかと思ってます。
東京のゲストは呼ばないんですか?」
中野「呼びたくはあるんですが、稽古なしでいいなら……。
ゲストの方とのやりとりって誰がやってます?」
大熊「まちまちです。僕か西分とか。つながりある人が連絡してることもありますし。
アフタートークとかは?」
中野「やります?」
大熊「やらないです……あ、やりました」
中野「しゃべるのが苦手で……昔やったときもあまりいい思い出がなくて」
大熊「アフタートークだとゲスト出演や他のイベントと違って準備がいらないのはいいですね」
中野「グッズって何が売れます?」
大熊「DVDと台本です。Tシャツは売れないですね。東京と愛知は全然売れないです」
中野「良かった、Tシャツ売れないのうちだけかと……。
写真はどうですか?」
大熊「写真も売っていてちょこちょこ買ってくれますが、主力は公演グッズですね、パンフとか。劇団員にカメラマンがいるのでその辺は強みです。
台本は……そういう意味ではひどい商品です……。コピー用紙に印刷してクリアファイルに入れてますが、それでも売れます。1200円でも売れました。知的財産としての値段だと思ってます……」
知的財産を売る男ふたり。
中野「台本に関しては、製本したい、本にしたい思いもあるので……。
サインとかあります?」
大熊「苦手ですわ……最初は考えてなかったんですよ。その場で考えたサインだったから全部違います」
中野「グッズの製作費が年々上がってはいるんですが、値上げのタイミングが難しくて……今はDVDが1本1500円から2000円です」
大熊「安いですね。うちは観劇三昧さんに委託しています。スピード配信プランだと、オプションでリアルタイムスイッチングのライブ配信もできるので重宝しています。これも『観てください』って自分からSNSで言わないといけませんが」
中野「無料配信すると映像で満足されて生の舞台を観に来てくれないんじゃないかという不安があって……壱劇屋さんみたいな作風なら『これを生で観てみたい!』と思えるのですが、うちは演目的に地味なので」
大熊「そんなことはないと思いますよ(笑)
『10分間』は僕、以前に上演されたバージョンを観ていますが、あまりネタバレにならない程度に言うと『もう一人出てきたー!』くらいまでは配信してもいいんじゃないかと思っています」
中野「えっ、開始から一時間分くらいは見せてしまうことになりますよ」
大熊「その後の展開がさらにあるので、あそこまでは全然見せていいと思いますよ。『この後どうなるんや』って興味をひかれるので。
作品内容をしっかりめに流すだけでも、宣伝だけでいうと流すほうが宣伝になると思います。
それか、白紙の状態で観てほしいというこだわりを貫くか」
中野「以前はそういうこだわりがあったのですが、黙っていてはお客さんは来ないという結論は出ました(笑)
リピーター割引とか、色んな割引があって、どれがいいのかと……」
大熊「うちは初日割はやります」
中野「じゃあうちも東京公演はしましょう(笑)」
大熊「金曜夜はお客様が入るんですが、日曜夜は全然入らないです。この間めずらしく千秋楽が一番入ったんです。最初と最後が多いと嬉しいですね。
頼れるのが口コミしかないので、とにかく最初に来てもらいたいと思っていて。
うちは公開稽古とかもやってます。ゲネプロの公開はスタッフさんに負担をかけるので。
稽古場の時点からうちこんでもらうのはすごくメリットがあると思っていて、僕らは公開稽古に来ていただいた方に稽古写真を撮ってもらってSNSにあげてもらっています。公開通し稽古は写真なしでアンケートをあげさせてもらいました。
とにかくお客さんの口コミが頼りです。
あとはシーン中の宣伝動画をあげるとか。今は撮った映像をそのままツイートできるので、誰でもできるからすごく楽になりました。このあたりもSNS中毒の劇団員がいると楽です(笑)」
中野「SNSの重要性は最近身に染みています。
おかげさまで最近は集客が少しずつ増えていて、客席数が多い会場を選ぶようになっていますが、僕チケット代はできるだけ値上げしたくなくて、物販でがんばらないとさすがにペイできなくなってきています。缶バッジとか売ってますか?」
大熊「売ってました。全部で1000個作って、さすがに全部は売り切れませんでしたがだいぶ売れました」
中野「グッズって、買って何に使うのかな、申し訳ないなと思ってしまって……」
大熊「『グッズを買いたい』と思ってくださる方がいらっしゃるので。クラウドファウンディングとかまさにそうで。モーションギャラリーは、全額達成しなくても到達度合によって支払いがあるので、やりやすいですよ」
中野「助成金は受けていますか?」
大熊「以前に制作さんがやりましょうかと言ってくださってやってもらいました。2018年は自分でやりましたが『これだけ書類を書いて○万円か……』みたいな気持ちにもなります(笑)」
中野「もらってしまうと自由な創作がしにくくなるんじゃないかとか思ってしまって。例えば助成金をもらう相手を風刺しにくくなるとか。といって別に風刺するような作品は書いてないんですけど」
大熊「ここで引き合いに出すのもなんですが、かのうとおっさんももらってましたよ。かのうとおっさんは自由な創作がしにくくなっている印象はないです(笑)
芸術的に価値があるところはもらったらいいと思いますよ」
背景のお店は実際にお話をうかがったお店とは別の店です(写真を撮り忘れて急遽街角で撮りました)
──東京公演について、他に何かアドバイスなどはありますか。
大熊「東京に言ってお客さんによく言われるのは、年一回公演は少ない、忘れるからと。継続するならせめて次の東京公演の予定は決めておいてほしいと。
けどそれはムリやなと……せめて『来年ツアーしようと思ってます』くらいは言うようにしています」
中野「でも年一回でもすごいと思います。僕らなんか10年に一回で……」
大熊「なんでまた今年やろうと思ったんですか?」
中野「東京の人に知ってほしいっていうのはありました。この作品はうちの武器だと思ってるし、武器だと思ってるものはもうちょっと知ってもらわないと、と」
大熊「劇団員は増やさないんですか?」
中野「壱劇屋さんは最近劇団員を増やされたんですよね?」
大熊「今23人になって、ほぼエグザイル状態です。そのうちスタッフは2人だけです。もちろん全員出られるわけじゃないので、毎回選抜はしますが」
中野「なんでそんなに入れようと思ったんですか?」
大熊「劇団を回していくためです。うちは竹村という、作演出がもうひとりいるので、上演の機会がけっこう多いので。イベント出演も多いです。
劇団員の真野絵里さんとか今どうされてるんですか?」
劇団員の真野絵里。
中野「育児でなかなか。今回は日替わりで出演しますが。子育て中の劇団員が増えてきて……」
大熊「この間ユリイカ百貨店さんに行ったら、お子さんがいっぱい来てました。出演者にママさんが多いので、シーン中走り回ったりします。そういう形式で続けてらして。
中野劇団は社会人でも演劇をしたい人の受け皿にはなれないんですか?」
中野「最初はそう思ってたんですが、結局みんな続かなくて……。
でも人がいっぱいいたらやれることは広がりそうですね」
大熊「うちも人が増えることに懸念を持つ劇団員はいましたが、僕が『いいんちゃうか』ということで今に至っています」
──本日は長時間本当にありがとうございました。再確認ですが、若い劇団員のツイッターが寒いと仰ってたのは……
大熊「全然書いていいですよ(笑)」
ありがとうございました!
東京公演までに聞いておいたことまとめ
・SNSは恥ずかしい
・でも大事
次回公演情報
壱劇屋さん
東阪二都市ツアー2019「Pickaroon!」
2019年7月5日(金)~7日(日)大阪公演
2019年7月26日(金)~29日(月)東京公演
https://stage.corich.jp/stage_main/81203
大熊隆太郎さん
ノンバーバルパフォーマンス「ギア-Gear-」レギュラー出演
キャストスケジュール https://www.gear.ac/ticket/cast_schedule/
予約フォーム(大熊隆太郎にチェック)https://opossum.jp/form/?Ks6ncjQsrgRpay5JsAyN7hTV7DcC*ifnzZiCV8OnDTw-
Kiss FM KOBE「STORY FOR TWO」レギュラー出演 https://www.kiss-fm.co.jp/iphone/streaming/story_for_two/
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月10日(金)-12日(日) 大阪・HEP HALL
2019年5月24日(金)-26日(日) 東京・こまばアゴラ劇場
https://stage.corich.jp/stage_main/79825
東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第4回 匿名劇壇 東千紗都さん(後編)
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第4回は匿名劇壇の東千紗都さんにアドバイスをいただきました。
2018年にアゴラ劇場での公演を終えたばかりです。
前後編の後編です。
中野「東京へ行くに当たって、これは注意したほうがいいとかありますか?」
東「東京の方はすごくSNSを参考になさるらしいです。SNSの評価で行くか行かないかを決めることもあると聞きました。
こりっちの『観てきた!』の評価も結構重要と聞いたので、書いて下さいというお願いをしたりもしました。
前日の予約が多いので、とにかく初日を埋めること、ハッシュタグを浸透させることを意識しました。SNS割という名前で初日割引もやっています」
中野「こりっちの『観てきた!』ってどうしたら書いていただけるんでしょうね…」
東「それはどうしたらいいのかなというのは私もあって…書いてくれたら嬉しいです、ということは伝えるようにしています。
あとは、書き方をツイートしたこともあります。ここから書き込みます、というスクリーンショット付きで」
中野「それはいいかもしれないですね。
匿名劇壇の劇団員の方は皆さんSNSのアカウントを持ってらっしゃるんですか?」
東「全員持ってはいますが、稼働させている頻度はそれぞれまちまちですね」
中野「劇団のSNS隊長はいるんですか」
東「…私です…」
中野「リツイートとかの基準ってどうされてます?」
東「私は一度にたくさんリツイートしないようにしています。タイムラインが埋まり過ぎないように少し時間を空けてリツイートしたりとか。あとは基本『いいね』をさせていただいています」
中野「匿名劇壇さんは全くゲストを呼ばないんですか?」
東「大学の後輩や同期を呼んだことはありますが、その後で劇団員になったりしていますね。
福谷は以前、手持ちのカードで勝負したい、どれだけ勝負できるかがやりたいと言っていました。毎回同じ手札なので、福谷自身も自分がやりたいことが伝わりやすい環境になっていっているのではと思っています。
ちょっと前までは客演を呼びたいという話も出ていたのですが、今は一旦なくなってますね。あとうちのメンバー、人見知りが多くて(笑)」
中野「東さん自身はどうなんですか?」
東「今のところは、匿名劇壇でじゃなくても、他の現場で共演したいな…と思っています。ただ、『福谷の作品をこの人で観てみたい』と思うこともありますね」
中野「脚本はいつもどのくらいであがっているんですか…?」
東「覚えている限り、初日に完本した状態で始まったことはあまりないですね(笑)
役者的には、少しずつ脚本を渡されるのは続きが気になるし、楽しみでもあるのですが、脚本が全部そろってると安心するじゃないですか。プレッシャーをかけるつもりはありませんが、はやくあがったらいいなとは思います(笑)」
中野「うちは劇団員で活動できる人が減ってきているので、数がいるのはいいなと思います」
東「いつまでこのメンバーでやっていけるか、というのはうちもあります。
でも、毎回客演さんを呼ぶ劇団さんのほうがすごいなと思ってますよ」
中野「元々は知り合いしか呼んでなかったんですよ、なんだか怖くて」
東「エチュードで作られるんですよね? 出演された方から話を聞いてびっくりしました…」
中野「この役者さんのおかげでできたっていうのはすごいあります。
匿名劇壇さんはエチュードは?」
東「匿名劇壇ではあんまりやらないですね。シアターゲームとかをたまにする程度です。
客演に行くと皆さん稽古前にそれぞれしっかりアップされてますが、うちは各自に任せてます」
中野「うちは発声練習だけは全員でします」
東「すごい(笑)
発声法教えてもらいたいです(笑)
うちはだいたい台本に関する稽古をしています」
中野「劇団と客演で自分の置き方は違うんですか?」
東「客演先によっては年上か年下ばっかりだったりするので、どうしても変わってしまうというか。
最近はどこに行ってもひとりは知り合いがいるくらいにはなったので居やすいですけど、そうでなければ稽古場の隅でひっそりしてます(笑)
昔は、『芝居もできていないのに調子に乗ってるなよ』と思われるんじゃないかと思って、雑談にも入れなくて。今でも雑談している場合じゃないとかは考えてしまうんですけど、結局、雑談しないとコミュニケーションがとれないので」
東「いつもゲストの方がいるんですか?」
中野「劇団員だけでやったのはインディペンデントシアターの火曜日のゲキジョウ30×30くらいで、本公演はないですね。ゲストの方が劇団員になったりはうちもありますが。
この期間に芝居しようって決まるのも遅いんですよ。もう劇場が空いていなかったこともありますし。
匿名劇壇は早いですか?」
東「昨年の11月に会議があり、この先1年のスケジュールがざっくり決まりました。
昔、年3回公演をやっていたときは、終わってちょっとしたらもう次のことを考える感じだったのであっという間に1年が過ぎましたね」
中野「公演を沢山やれているところはすごいですよね…」
東「壱劇屋さんとかほんとにすごいですよね」
中野「うちは年1回でも厳しいんですが、やらないと忘れられてしまうので…
会議は頻繁にしているんですか?」
東「本当は月1回やりたいんですけど、うちは舞台監督と制作が忙しいのでなかなかつかまらなくて。会議をしても全員は来られなかったりもしますね」
中野「声かけないと劇団員と半年会わなかったりするので…
ここ1~2年はイベントに呼んでいただけるようになって、顔を合わせる機会は増えましたけど」
東「私たちも会わないときは全然会いませんよ。舞台があれば観に行って会いますけど、客演がない子とかは全然」
中野「芝居以外で会ったりはしないんですか?」
東「しょっちゅうではないですが、たまたま同じ日に芝居を観に行って帰りに飲みに行ったり、今暇?ご飯行かへん?みたいな連絡が来て、行ける人で集まったりはしてます」
中野「学生劇団のOB劇団というわけではないんですよね?」
東「全員、近畿大学の舞台芸術専攻出身です。
卒業生で続けている人は少ないですね…男肉 du Soleilさんが一番近い先輩です。
舞台芸術専攻ですが、卒業後は就職する人が多いですね」
──東京公演について、ほかにアドバイスはありますか?
東「アゴラの楽屋は少し狭めなのでキャリーなどの場所をとる荷物は泊まっているところに置いて、下の劇場には最低限のものだけ持ち込んでいました。
上手袖に溜まれる場所があるのですが天井が急に低くなるので、袖に入るとき気をつけないといけないです。
あと平台が結構鳴るので舞台の大黒裏を通る時は気を付けていました」
中野「聞いておいてよかった(笑)」
──総じて東京公演はどうでしたか? 大変でした?
東「全然大変じゃなかったですよ。楽しいことのほうが大きかったですし、やりがいも感じています。また東京公演が出来るよう頑張ります」
──ありがとうございました!
東京公演までに聞いておいたことまとめ
・泊まりOK
・居酒屋『さわやか』
次回公演情報
匿名劇壇さん
大阪御ゑん祭『夫人マクベス』
2019年2月21日(木)-27日(水) 大阪市立芸術創造館
http://ticket.corich.jp/apply/96513/204/
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月10日(金)-12日(日) 大阪・HEP HALL
2019年5月24日(金)-26日(日) 東京・こまばアゴラ劇場
https://stage.corich.jp/stage_main/79825
東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第4回 匿名劇壇 東千紗都さん(前編)
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第4回は匿名劇壇の東千紗都さんにアドバイスをいただきました。
2018年にアゴラ劇場での公演を終えたばかりです。
前後編でお送りします(東さん、長時間お付き合いいただきありがとうございます)。
中野「何回くらい東京公演やってらっしゃるんですか」
東「匿名劇壇ではこないだが3回目です。個人ではそれ以外に2回程経験があります。
大学に入った年が、唐十郎さんが特任教授の最後の年で。学内公演で東京に行ったのが初めてですね。(フェスティバル/トーキョー09秋「演劇/大学09秋」腰巻お仙-義理人情いろはにほへと篇-)。
1回生の初舞台で東京へも行かせてもらえたので、すごくいい経験をさせてもらえました」
中野「東京公演って向こうで集合するんですか?」
東「劇団員の交通費は基本自腹なので、夜行バスで安く行く人もいれば、大道具のトラックに乗せてもらう人もいます。新幹線で行く人もいますし、それぞれですね。
宿泊も劇場に泊まっていましたが、自分で宿をとって宿泊している人もいました。
企画によっては男女それぞれ一部屋ずつウィークリーマンションみたいなのを手配してもらったこともあります」
中野「劇場に泊まるって環境としてはどうなんですか?」
東「アゴラはかなりいい環境ですよ!
劇場の中ではなく、劇場の上の稽古場スペースで泊まれるのでゆったり出来ますし、シーツだけ借りれば布団・シャワー・乾燥できる洗濯機もありますし」
中野「食事はどうしていたんですか?」
東「消えものでご飯があったときは炊飯器を持っていったこともありますが、東京では炊き出しはしてなかったですね。
割と毎回ご飯を食べに出てきました。観に来た友達と行く子もいたり。
アゴラはスーパーも近くにありますし、駅まで10分くらいでコンビニもあります。『さわやか』という居酒屋が近くて行きました。
ふだんは、男の子は稽古終わりによく飲みに行きますが、女の子はたまに程度ですね」
中野「うちはゲスト出演者の方がご飯に誘ってくれたらついていく感じで…公演中は終わったら僕は帰りたいですし」
東「(笑)」
中野「東京に行ったら飲みに行きたいですね」
東「東京のほうがよく行きますね。みんな帰るところが同じなので」
中野「東京以外の地方公演もしたことがあるんですか? どんな感じでした?」
東「仙台に行ったときは、ちゃんと観てくれていた、という印象でした。終演後に声をかけていただいたり。小さなABCホールのような良い劇場で素敵な劇場でやらせていただきました(荒馬祭 匿名劇壇「戸惑えよ」パトナシアター)」
中野「東京と大阪でお客さんの感じは違いますか?」
東「大阪のほうはホームなので、迎え入れてくれる態勢で観てくださっているように思います。
東京は、1~2年目は『どんなもんや』みたいな空気で、査定されているような気持ちにもなりました…逆にちゃんと観てくれているということだと思います。今回は『前回も来ました』という方が何人も来て下さったので、すごく嬉しかったです」
中野「当日フラッと来るお客さんっているんですか?」
東「アゴラは支援会員の方にだいぶ助けられました。観に行くかどうかを当日に決める方が多いという話を聞いてはいたのですが、助けられたほうが多かったです」
──東京でも日曜日の回は大阪公演と同様に11:30/15:30/19:30の3ステージだったんですよね?
東「午前中の回は意外と集客がありました。11:30の回はハシゴ観劇がしやすいので、大阪でも人気がありました。
月曜の午前中の回も、サービス業の人や小劇場の役者さんなどで、その回があったから来れたという人がいたので、やってよかったと思います。
東京では“朝劇”も流行っているみたいですよ。芝居を観てから仕事に行くみたいな感じで、朝7時とか8時から芝居をしていたり」
中野「アフタートークみたいなイベントってしてます? 集客が増えるものですかね?」
東「今回はアフタートークはしませんでした。前回はしましたが、集客はどうでしょう…多少は増えたと思いますけどすごく増えた印象もないですかね。
前回の東京公演は縁のある演出家の方をお呼びしてアフタートークしたりしました。脚本演出目線で、お客さんには楽しんでいただけたみたいです」
中野「しゃべるのが苦手で…」
東「写真撮影回とか、イベント的なほうが集客が増えるのかもしれませんね…
役者にタレント性があれば役者がトークするだけで集客があるので、うちの劇団員もそうだったらよかったなぁと(笑)」
中野「匿名劇壇の演出の福谷さんは、トークはどうなんですか」
※匿名劇壇の劇作家・演出家・役者、福谷圭祐さん。
ツイッターでの観劇感想は、誉めていても貶していても観に行きたくなる(中野劇団調べ)。
写真は匿名劇壇サイトからお借りしました。
東「自分の意見を喋るのは割と好きな方だと思います。少なくとも苦にはならないみたいですね。他の劇団さんの公演のアフタートークゲストなどにも呼ばれることがあります。」
中野「役者的に、アフターイベントの存在ってどうなんですか?」
東「内容によります…
フリートークだと何をふられるか分からないので緊張しますね。私は喋るのがあまり上手くないので、喋りが上手な方がメインで喋ってくれたり、何人かで喋ったりするのはまだ気は楽ですかね」
中野「匿名劇壇ではどうですか?」
東「劇団員だけでのアフタートークはした事はないですね。客演さんもいないし、基本毎回劇団員だけなので、まあ変わり映えしないというか(笑)。今後あったとしても、恐らく福谷メインになると思います」
中野「喋れるっていいですよね……」
後編に続きます。
後編はほぼ東京公演関係なく匿名劇壇さん(と東さん)についておうかがいしています(東さん、重ねてありがとうございます)。
次回公演情報
匿名劇壇さん
大阪御ゑん祭『夫人マクベス』
2019年2月21日(木)-27日(水) 大阪市立芸術創造館
http://ticket.corich.jp/apply/96513/204/
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月10日(金)-12日(日) 大阪・HEP HALL
2019年5月24日(金)-26日(日) 東京・こまばアゴラ劇場
https://stage.corich.jp/stage_main/79825
東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第3回 後付け 高嶋Q太くん
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第3回は「子供の頃そのへんにたまに遊びに行っていた」という後付けの高嶋Q太くんにアドバイスをいただきました。
写真左は居合わせた北川啓太くん(京都生まれ京都育ち)です。
高嶋「駒場東大前の駅の前に」
──はい
高嶋「マクドナルドがあって。そこは朝からやってます」
北川「え、今の、朝からマクドがやってる、って情報?」
高嶋「あと」
──はい
高嶋「駒場キャンパスのグラウンドは勝手に入れるので。子供の頃よく勝手に入ってサッカーとかしてました。今も入れるかは分かりません」
北川「東京公演しに行ってサッカーしたくなる?」
高嶋「あと」
──はい
高嶋「駅から歩いていったところに駄菓子屋があったんですけど。今はもうないです」
北川「ないんだ」
高嶋「それくらいですかね」
北川「え、終わり!?」
東京公演までに聞いておいたことまとめ
・朝マック
・グラウンド
・駄菓子屋(今はもうない)
次回公演情報
後付け
第4回公演「スチームアイロン」
2018年12月15日-18日 京都大学文学部学生控室(ブンピカ)
https://ato-zuke.amebaownd.com/posts/5130365
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月2週 大阪・HEP HALL
5月4週 東京・こまばアゴラ劇場
アドバイスいただける関西の劇団の方、mail@nakanogekidan.comまでご連絡をお待ちしております。
東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第2回 かのうとおっさんさん&若旦那家康さん
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第2回は「かのうとおっさん」の嘉納みなこさんと有北雅彦さん、そしてこの日たまたま有北さんと会った若旦那家康さんにアドバイスをいただきました。
若旦那「(有北さんの手の甲を見て)けっこう(体毛が)生えてますね」
有北「毛生え薬は全体的に体毛が濃くなるんですよ」
中野「え! そうなんですか? でもじゃあ効いてるってことですね。いくらくらいするんですか?」
有北「月1~2万円くらい。けっこうしますね。携帯もう1台持つくらい」
中野「値段というか量は自分で決められるんですか?」
有北「提案してくれますね。だから携帯のギガ数増やすみたいな。いま増やしますかって訊かれてて」
若旦那「増やしたら増やしたで全体的に濃くなって」
有北「まあそう」
若旦那「じゃあ体毛濃くなるくらいならハゲをとるわ…」
─有北さんはどちらのメーカーのお薬をお使いなんですか?
有北「毛生え薬の話で終わりそうですけど大丈夫ですか!」
─正直、10年ぶりの東京公演なので何から聞いたらいいのかもよくわからない状態で…
若旦那「アゴラはとても協力してくれますよ。分からないことは電話すれば、担当の方が常駐してるわけではありませんが誰かが答えてくださいますし」
─あいさつが大事と聞いて緊張しています…
若旦那「普通で大丈夫ですよ(笑)」
中野「青年団の人数分のお菓子を持っていかないといけないとか」
若旦那「(笑)僕はどこにでも大阪っぽいお菓子は買って行きますけども。サービスエリアとかでも売ってるようなふつうのものですよ。
青年団と無隣館の制作スタッフなのでスタッフさんの人数は結構いらっしゃいますけど、みなさん常にいらっしゃるわけではないですからね。数はそんなに気にしなくて大丈夫です」
─今日いきなりお越しいただいてそんなに具体的に教えていただけるとは…
若旦那「稽古場代の支払いに来たら建物の1階でたまたま有北くんと会って…
所属しているコトリ会議のほか、突劇金魚の公演などでも何度か行ってますので、何かお役に立てることもあるかと」
有北「僕らよりは役に立つかと思いまして」
若旦那「チラシができたら1万部くらいはアゴラの公演に折り込んでもらえますし、Next(ネビュラエクストラサポート)のアゴラのチラシ束にも入れてもらえます。
僕はこまめに電話して、なくなりそうになったら大阪公演の折込数を調整して追加で送ってました。
間違えて送りすぎたときもちゃんと連絡してくれたり。
アゴラ以外で公演する関西の劇団との合同仮チラシも、本チラシより前だったんで相談してお願いしたりもしました」
かのう「うちはカンフェティを使いましたね。チラシ印刷と折込がセットになってるプランがあるので」
有北「関東と関西でチラシの印刷会社が違うから、チラシの色が全然違ったんですよ(笑)」
中野「関西の印刷会社はどこ利用してます?」
有北「グラフィックです」
中野「やっぱりデザイナーにはグラフィックが人気ですよね、うちも他社を利用してたんですけど宣伝美術担当からグラフィックがいいと言われて」
かのう「会社によってはチラシの刷りはじめと刷り終わりで色が違ったりしますからね。その点グラフィックは発色がいいですよね」
中野「招待券、配ったりしました?」
かのう「うちは配らなかったですけど、配ったほうがいいのかもしれないですね。
かのうとおっさんは、まずルナティック演劇祭という数団体合同の演劇祭に参加したあと、単独で東京公演したんですよ」
中野「うちも本公演前にそういう合同イベントに参加したい、というか開催してほしいんですけどね…」
若旦那「アゴラは支援会員が200名弱いらっしゃり、演劇での発言力のある方が支援会員になっていたりするので、すごい話題の公演と被っていなければ、他地域で話題の公演は結構観に来てくれますよ」
─年会費フリーパス制の支援会員ですね。
どのくらいお越しいただけるものですか?
若旦那「コトリ会議は全8回公演で延べ120名の支援会員の方にお越しいただきました。
支援会員は予約や入場が優先される代わりに観劇料が劇団に支給されます(今年度はご来場1名につき1,000円)。
宿泊は、地方の劇団は何人泊まっても1日1,500円+シーツ代です(布団は10組まで無料)」
中野「安いですね」
若旦那「ただし、朝9時から夜22時くらいまで青年団さんや他の劇団で借りている劇団の稽古利用があることが多く、あまりゆっくりはできません。
で、昔は朝ブラブラしてたのですが、もったいないので最近は開演時間を11時と16時にしたんですね。夜は思い切って東京の知人と飲みに行ったり、芝居を観に行ったり」
─へえ!それはいいですね
若旦那「そのためにここ2年くらいは土日は徹底して午前稽古をしています。
11時開演だと、1日3本観る方は劇団を知らなくても結構観に来てくれたりするかもと考えて。アゴラは下北沢からも近いので。
ただ、金曜日に1日3ステージやってみたらお客様がバラけて…。金曜11時の回は20名くらいだったんで動員は失敗でした。けど、ふだんなら観に来られないライターさんに、その時間だったから観に来られたと言ってもらったりしました」
─難しいところですね。
若旦那「中野劇団はエントレのクォータースターコンテスト(動画コンテスト)で賞をとっているので、ご挨拶に行ったら取り上げてくれそうですよね」
かのう「シアターガイドさんは、記事にしてもらうなら2か月前くらいにご挨拶に行っておくとよいです」
若旦那「シアターガイドさんは、ご挨拶に行くと、写真を撮っていただけて『今月の訪問者』というコーナーに載せてくれたりしますね。
あと僕は、渋谷に行くときはぴあにアポをとってご挨拶に行くようにしてますね。
アゴラは下北沢が近いので、観劇三昧の下北沢店に相談したらイベントを推進してくれますよ」
─中野劇団は家庭もあるのであまりこまめに東京に足を運べなくて…。
現地でのイベントよりは、ネットを使った宣伝のほうが取り組みやすそうです。
若旦那「フォロワーが関西中心なのでツイッターでの宣伝は届きにくいんですよね。
オパンポン創造社さんとかは、向こうの人、東京につながりある人にハッシュタグ付けて書いてもらうとかをやってて、うまいなと思いましたね。
あ、中野劇団の公演、来年5月なら、CoRich舞台芸術まつり(インターネット上の舞台芸術祭。今年度グランプリはオパンポン創造社さん)もいけるんじゃないですか」
かのう「そうだそうだ」
─そうなんです。考えていただいてありがとうございます…!
中野「アフタートークとかってやった方がいいんですかね? 個人的には余韻を大切にして帰りたくて」
若旦那「僕は観てほしい人に観てもらうために呼んでますね。
ご招待してもなかなか足を運んではいただけないですが、アフタートークゲストとなれば来てくださる方もいるので。御礼を出すとしても観ていただけるならやる価値はあると思っています」
中野「以前にアフタートークが盛り上がらなかったトラウマがあって…」
─作演出抜きで、ゲストの方だけでトークしていただくのはどうでしょう(笑)
中野劇団をご存じの方と初観劇の方でトークしていただくとか。
若旦那「口コミが大きいので、公演期間をできるだけ長めにとったうえで、前半にそういうイベントを持ってきたほうがいいです」
─同じ4ステージでも、土日4ステージよりは金土日4ステージのほうがいいということですね
若旦那「あとはゲネプロ招待とか。大阪公演を先にやっていればゲネプロでもそんなに大崩れしないと思うので。どちらが先でしたっけ?」
─大阪が先です。5月2週にHEP HALL、5月4週にアゴラです。
─劇団員がやってみたい劇場をそれぞれ選んだ結果、サイズが全然違うんですよ…。
若旦那「アゴラって京都にあったアトリエ劇研みたいな形で、サイズも大阪のアトリエS-paceくらいですよ。キャパ70くらい?」
有北「アゴラサイズのほうが皆さん慣れてそうですよね、中野劇団は。HEPのほうがどう広げるかですよね。まわりオブジェ置くとか」
中野「HEPでのしくじりをリセットしてホーム感を出していけば…」
有北「なんでしくじる前提なんですか」
中野「で、招待もありますけどゲストを呼ぶことも考えたほうがいいと」
若旦那「有北くんとか」
有北「前に『10分間』大阪で上演したときにゲストで出てたけど(笑)東京での集客力は全くないのに」
かのう「私は観に行きますけどね」
中野「関西の劇団が東京公演しに行くのにゲストは関西から呼ぶって、交通費もかかるのに(笑)」
若旦那「いかにも客寄せ的なものより、変わったことしてんなぁくらいの方が面白いですね!」
─東京と大阪のお客様の違いは何かありますか?
若旦那「東京の人は面白くなかったらちゃんと面白くなかったって書いてくれますね。アンケートでもSNSでも。それに心折れずに書いてもらえるだけありがたいと思っておいたほうが。
知り合いじゃないから面白くないものはほめない」
かのう「関西のツイッターの感想は皆さんほめますからね」
若旦那「知り合いだったり、どこかで会うかもしれないとかありますからね」
中野「大阪より東京のほうがゲラ(すぐ笑う人)が多いですよね」
若旦那「笑いに来てくれている感じもします。大阪はこう(腕を組んで背もたれにもたれる)見てる人が多い?」
かのう「素直に笑ってくれますね。
関西より観劇人口は多いですよね?」
若旦那「一見さんがフラッと来る数は大阪よりもゼロひとつ多いですが、公演数も同じくらい多いので。
どうやって話題にしてもらうかですね」
かのう「ツイッター自体が廃れてきてるのもありますよね。私もほぼ見ないです。前は、いじめられてるの?ってくらい見てたのに、画面が割れてから」
有北「それは画面が割れたからでしょう(笑)
インスタに移行してるんですかね」
若旦那「Twitterでいうとリプライでインタビューみたいにしてモーメントを使ってまとめて読める宣伝を考えてるんですよ。どういう人が出演しているのか、作っているのか、人となりを分かってもらって、東京に知人が多い人を経由して繋がるために。
時間ができたらやろうと思って」
中野「色々考えてらっしゃるんですね」
若旦那「そんなことばかり考えてます」
かのう「関西って今どうなんですかね?あんまり盛り上がってないような…」
若旦那「それはかのうとおっさんが年1回公演になったから…」
かのう「そうかー」
有北「今日その結論ですか(笑)」
若旦那「今年、クォータースターコンテスト(QSC)が開催されないじゃないですか」
中野「そうなんですよ、ネタ考えてたのに」
若旦那「中野劇団とかのうとおっさんで勝手にQSCをやってアップしてみたら…」
中野「(笑)」
若旦那「1団体だけだと悪目立ちしますけど。そういうバカバカしい目立ち方を」
中野「俺たちのクォータースターコンテストを」
若旦那「あとは東京の同級生に片っぱしから連絡を…」
─ありがとうございました!
東京公演までに聞いておいたことまとめ
若旦那家康さん:ふつうのお菓子でよい
かのうとおっさん:全体的に体毛が濃くなる
次回公演情報
かのうとおっさん
ブログ
http://blog.livedoor.jp/kanoutoossan/
若旦那家康さん(制作)
現代演劇レトロスペクティヴ
コトリ会議「髪をかきあげる」「ともだちが来た」
2018年11月15日~18日 伊丹アイホール
https://stage.corich.jp/stage_main/77114
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月2週 大阪・HEP HALL
5月4週 東京・こまばアゴラ劇場
アドバイスいただける関西の劇団の方、mail@nakanogekidan.comまでご連絡をお待ちしております。
東京公演までに聞いておきたい16のこと(仮) 第1回 笑の内閣さん&努力クラブさん
中野劇団は2019年5月に東京・こまばアゴラ劇場で「10分間」を上演します。
10年以上ぶりの東京公演、初のこまばアゴラ劇場。
東京公演経験のある関西の劇団にアドバイスをいただいて回ることにしました。
タイトルが(仮)なのは、東京公演までに聞いておきたいことが16も思いつかないかもしれないからです。
第1回は中野劇団と同じ京都の劇団、笑の内閣の高間響さんと努力クラブの合田団地さんにアドバイスをいただきました。
高間「こまばアゴラ劇場の近くの『太田屋』の弁当がうまいですよ。肉屋なので肉とかカツのボリュームがあります」
─そういうアドバイスいただきたいです(笑)
合田「挨拶が大事らしい……大事だったらしいですよ。事務所とかに。僕ら、きちんとした教育を受けて来られなかったので、挨拶できていたかどうか。たぶん、できてなかったと思うんですけど。嗚呼。嗚呼」
高間「あ、渋谷からは以外と歩けます。最初は馬鹿正直に電車乗ってましたけど。東京の二駅は実質一駅くらい」
合田「駅と駅の間隔が近いですからね。歩いて20~30分くらい」
─何かしようと思うと渋谷まで出る感じですか
合田「渋谷か、下北も結構すぐ行けます。まわりは本当に何もないですよ」
─京都でいうとどの劇場に近いですか?
合田「うーん、場所柄は京大吉田寮食堂とかスタジオヴァリエらへんに近いんじゃないですかね。大学が近くにあって、住宅地深く」
高間「劇場の前の道が狭いんで、車で搬入するのは大変ですよ。コインパーキングが24時間ごとに一旦出庫しに行かないと大変な金額になる」
合田「笑の内閣って車で搬入するようなセットありましたっけ?」
高間「運んだよ!『名誉男性鈴子』のセットとか!」
─笑の内閣さんはコンスタントにこまばアゴラ劇場で公演されていますね。
高間「劇場にシャワーしかなくて銭湯が遠いのが泊まるにはネックですね。最寄りの銭湯が『文化浴泉』ですかね」
合田「僕は泊まってないのでその辺は高間さんのほうが詳しいです」
─努力クラブさんはこまばアゴラ劇場で公演されたのはどの公演ですか。
合田「去年のリクウズルームさんとの合同公演です。お声掛けいただいて。色んなご縁があって、1回東京でやってみたいなとは思っていたので。」
─努力クラブさんは東京の団体との合同公演でしたけど、笑の内閣さんは宣伝はどうされてるんですか?
高間「うちはアゴラとカンフェティですね。アゴラはチラシ折込の代行があるのと、カンフェティでチラシを印刷すると折込が無料になるプランがあるので。折込代行の委託料を考えたらカンフェティで印刷したほうが安いと思います。
あとは繋がりのある関東の劇団、アガリスクエンターテイメントさんとか、忙しい時期でなければ観に来てくれています」
合田「ぼくアガリスクエンターテイメントの前田さんと高校が同じなんですよ」
─ええ!(笑)
合田「特段仲が良かったとかではないんですけど」
─アゴラの支援会員の方はどのくらいご来場がありますか?
高間「作品によって違います。あるときから急に倍増しました。50から100くらい」
合田「僕のときはあんまりなかったです。この間のしたためさんの公演はすごく入っていたようですね」
─したためさんはこまばアゴラ演出家コンクールで受賞された直後に公演があったんですよね
高間「そういう知名度しだいなところがあります。
うちは時事が売りなので、時事ネタではない次回公演の集客が一番心配で……
東京は動員の伸びが右肩上がりではないんですよ」
合田「何公演か停滞してまた伸びるみたいな」
高間「右肩上がりでなく横ばいのあと、100くらい伸びるの繰り返しですね。できたら毎回50ずつ伸びてくれる方が精神衛生上いいのですが。
中野劇団さんは、東京公演を続けていればどっかのタイミングで集客が伸びそうですけどね……
むしろ高校生とか呼んでみるのはどうですか?中野劇団の脚本は高校生にも使ってもらってますし」
─ありがとうございました!
東京公演までに聞いておいたことまとめ
笑の内閣さん:太田屋
努力クラブさん:あいさつ大事
次回公演情報
笑の内閣さん
第26次笑の内閣「そこまで言わんでモリエール」東京・京都新作ツアー
2018年10月31日-11月4日 京都芸術センターフリースペース
11月21日-25日 東京・こまばアゴラ劇場
http://warainonaikaku.sitemix.jp/
努力クラブさん
第12回公演「少年少女」
2018年11月2日-4日 京都・人間座スタジオ
http://www.geocities.jp/doryokukurabu/
中野劇団
第20回公演「10分間2019~タイムリープが止まらない」
2019年5月2週 大阪・HEP HALL
5月4週 東京・こまばアゴラ劇場
アドバイスいただける関西の劇団の方、mail@nakanogekidan.comまでご連絡をお待ちしております。